『動画制作の品質を決める7つのチェックポイント|読むだけで役に立つ動画制作ノウハウとは?』の2回目。今回はリサーチについてのお話です。
物販をやったことのある人にも共通した考え方が出てきます。
客観性と主体性
リサーチとは、動画を構成する要素を抽出する作業の工程です。
つまり「何を言うのか」というテーマを見つける作業だと言っても良いでしょう。
①リサーチにおける客観性と主体性
たとえば、取材した際には、
●企業の業績や主力商品の売り上げを示す数字
●商品の開発秘話
●若手社員のインタビュー
など、実際に取り上げるかどうかは別にして、これらの魅力的に感じる要素を、まずは、全部テーブルに並べることから、リサーチという作業は始まります。
経営者である社長はもちろん、IRの担当者だったり、PRの担当者から見れば、「そんなことは分かっている」と思うかもしれません。
確かにその通りです。
でも、そこに小さいけど、ものすごく深い落とし穴が潜んでいます。
私たちはそれを「リサーチにおける客観性と主体性」と呼んでいます。
②重要なのは「客観性を高める作業を惜しまないこと」
たとえば、あなたが、日々、目まぐるしく報道される『経済情報』が欲しいと思ったとしましょう。その際に必要な情報源として、なにを思い浮かべますか?
多くの人が、この問いに『日経新聞』と答えるのではないでしょうか。
たぶん、私もそうです。
ではなぜ、それほどまでに『日経新聞』は信頼するに足りる媒体なのでしょうか?そこに「客観性を高める作業を惜しまないこと」の重要性が隠されています。
『日経新聞』の記事が、たくさんのビジネスパーソンから支持される理由は、記者が客観性を持って記事を書いたあと、さらに編集者が公平な視点をもってニュースを選んでいる。という信頼性から来ています。つまり、客観性を高めている作業をしているのです。
それが、たとえ、自社の紙面上や番組内において、”自社にとって都合の良いこと”と”悪いこと”であっても同じです。実際に、自社にとって、都合の悪いことでも、紙面に掲載されていることでも、これらは証明されています。
『日経新聞』と同様に経済番組で有名な『ワールドビジネスサテライト』というテレビ番組があります。日経新聞の記者→テレビのディレクター、編集者を→テレビプロデューサーと置きかえても、状況はまったく同じです。記者が客観性をもち、さらにそれを編集者が公平な視点をもって、記事を選んでいます。報道という現場では、あくまでも起こった事実に対して、客観的で、さらに主観のない公平な視点が、その報道の信頼性を支えて担保になっています。
動画を作るときにもにも同じことが言えます。
視聴者の心を真に打つメッセージには、要素選びの段階でも客観性が必要です。決して、「企業が言いたいこと」を打ち出したプロダクトアウトな動画ではいけません。これでは、おそらく3秒もかからず、試聴を打ち切られてしまうでしょう。押し売りの広告とまったく同じです。決してかしこい担当者はしません。
ところが、残念な調査報告もあります。
2016年に電通PRが発表した『企業広報力調査』と『企業魅力度調査』です。これによると企業サイトを詳しく見たいと思う要素の中で「調査データなどの客観的な情報が欲しい」と答えた生活者は、36.2%に上りました。ところが残念なことに、生活者が詳しく見たいと思うこの「客観的な情報を工夫して伝えている」と答えた企業は、わずかに17.9%止まり。このデータから、消費者が見たいと思っている情報を、企業が工夫して伝えようとしていない、という企業側の残念な姿勢が浮き彫りになってしまいました。
皆さんのターゲットは、想像以上に冷静に動画を見ています。
③大切なのは、主体性。それを客観的に…
さて、客観性を持つことが、大切だとわかった上で、さらに大切なことがあります。
それは
主体性です。
「あれ?なんだか矛盾している」って思ったかもしれません。でも、そうではありません。
なぜなら動画に限らず、記事や写真など、すべてのコンテンツは、最終的に、誰かの主観をもって作られているものだからです。
では、主観と客観。この一見、相反するもの。
これらを両立するためには、どうすれば良いのでしょうか?
その方法は、
客観性を持つ誰かに自分たちのことをリサーチしてもらい、その人の主観によって要素を提示してもらう。
ことです。
このひと手間を作業工程に加えることで、動画の完成度は、飛躍的アップします。第三者から提示してもらう提案の中に、あなたが思っていたアピールポイントではない、もっと違う要素が、大きくクローズアップされている可能性が高くなるからです。
あなた以外の誰かが、客観的にみて「これは素敵だなぁ」と思ったことは、本当に素敵なことです。きっとほかの誰が見てもそう思うでしょう。つまり、最終的に多くのターゲットの心にも届くということです。一度、試してみてください。
たて堀/よこ堀/時間軸
転売ビジネスで、よく言われる『たて堀/よこ堀/時間軸』という考え方があります。
転売ビジネスなんて、イメージ広告であるブランディングの世界でもあまり馴染みがないですよね。でも、考え方自体は、もれなく、ダブりなく、要素を抽出できる点で、アピールポイントを探す時に、動画制作リサーチにも応用できる部分があると思います。
本来のリサーチからは、外れてしまうかもしれませんが、おまけ的にご紹介しておきます。
①たて堀
転売ビジネスでは、初めにたて堀をして商品を探します。
たとえば、現状の売れ筋商品が『iPhone』だったとしましょう。たて堀は、その商品に関連する情報をキーワードにして
iPhone カバー
iPhone ケース
iPhone 充電器
iPhone Wi-Fi
などのように、iPhoneを中心軸にして、iPhoneに付随するキーワードを羅列して行きます。それがたて堀です。
②よこ堀
漏れなく、ダブりなくキーワードを網羅する
ある程度、たて堀して、掘り尽くしたと思ったら、次に次によこ堀をしていきます。
たて堀で出てきた『iPhone ケース』といったキーワードから派生してiPhoneの「ケース」についてリサーチしていきます。
ケース 安価
ケース 革製品
ケース プラスチック
といった具合にです。
iPhone というキーワードから派生してケースというキーワードにたどり着く。さらにケースにも様々な種類や値段が存在することがわかる。最終的には、iPhoneとは全く関係の商品まで掘り下げることができます。先に『たて』に掘り、そして『よこ』に広げるというマトリックスを作ることで、理論上は漏れなくキーワードを網羅して、売れるかもしれない商品候補を見つけ出す。というのがたて堀、よこ堀のリサーチ術です。
儲かる商品がいつもで売れるのか?を見極める時間軸
ただ、それだけでは、売れる商品にはなりません。すでに、商品として賞味期限が過ぎているキーワードが混じっているからです。こういったことを考慮に入れて、その商品を外して仕入れや販売につなげます。
ところが、一般的にプロダクトサイクルは(導入期/成長期/成熟期/衰退期)のフェーズで、本来は、下記のようなS字カーブを描くわけですが、いったん衰退期に入った後も改良版や進化版といった商品が出てきて、新たなフェーズに入ることがあります。
たとえば、ヤマト運輸さんのように、同じ輸送サービスをやる中で、コルフバックをゴルフ場に運ぶ『ゴルフ宅急便』とか、冷凍ものを扱う『クール宅急便』などを市場に送ることで、新たなプロダクトサイクルを作ったりするケースです。
③時間軸を考える
未来予測をする
このように一旦衰退期に入った後でも、新たにS字カーブが出てきたり、することを『螺旋的発展』などとも言われますが、
改良版やレプリカ版が出る
復刻版が再発売される
ある程度の周期で歴史が繰り返される
などが起こり得ます。
こういったことを踏まえて
モデルチェンジされる商品のタイミングに敏感になっておく
ことで、未来予測をして、商品の仕入れや販売に活かす。というのが時間軸の基本的な考え方です。これはつまり、過去を検証することで、未来に起きることを予測する『未来予測』に繋がっていきます。
動画制作❷【リサーチ編】まとめ
これらのことは、どんなことをリサーチするときにも有効な考え方です。商品やサービスのアピールポイントを探す会議でも、参考になります。
動画リサーチに応用
●どんなものが売れているのか?
●同様の商品はないのか?(たて堀)
●それに派生したものには何があるのか?(よこ堀)
●過去には何があったか?今、それがない訳は何か?今後どうなるのか?(時間軸)
を自社の商品、サービス、に応用してみましょう。
今、訴えるべきことは何か?
今、何を言うべきなのか?伝えるべきなのか?
というテーマを見つける作業をすることで、ブレないテーマを見つけていくことに繋がります。
参考にしてみてください。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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