ミスの許されない撮影現場でなぜプロのカメラマンは失敗しないのか?あなたが知っておくべき7つのチェックポイント。それは
『シロ・シ・ア・ゲ・ブレ・ピン ND』
です。
今日は7番目の『ND』=についてです。
『ND』ってなに?
『ND』とは、ND(エヌディ)フィルターと呼ばれるものです。
日差しの強い日にかける、カメラにとってのサングラスみたいなものだと思ってもらえればいいと思います。明るい場所で撮影するときに、レンズに入る光を調整するフィルターです。
屋内であれば、照明などで明るさを調整できます。でも、屋外の撮影では、そうもいきません。太陽の日差しを自由自在に調整することなんて、できないですよね?
そんなとき、レンズの中に入る光の量を調整するために使うのが、今回ご紹介する7つのチェックポイントのひとつ、NDフィルターです。
レンズの中の光量を調整する方法は
レンズの中の光量を調整する方法について、おさらいです。調整の方法には、大きく2つありました。
①シャッタースピードを早くして、光の量を調整する
②アイリス羽根を絞って、レンズ内に入る光の量を調整する
です。この内、シャッタースピードについては、映像のフレームレートの問題や、フリッカー対策などで、1/100秒に固定して使用します。
もう一つ、レンズの中の光量を調整する方法にアイリスは、屋外の撮影では、明るすぎて、アイリスの露出補正だけでは、対応が難しい場合が出てきます。
明るすぎる時に使う=NDフィルター
そういう状況に対応するために使用するのが、NDフィルターです。
NDフィルターが、レンズにかけるサングラスのイメージと言ったのがお分かりでしょうか。レンズに入る光量を適正になるように調整してくれるのです。
ここまで、明るさの調整機能を紹介してきましたが、ちょっと分かりづらくなってきたと思うので、念のため、復習を兼ねて整理しておきましょう。
すごく暗いときに、明るくするために使用する
すごく明るいときに、暗くするために使う
です。この部分、しっかり覚えて押さえておきましょう。
NDフィルターの種類
NDフィルターは、機種によって、あらかじめ標準装備されている場合と、そうでない場合があります。
都度交換するものと可変フィルター
光の状態に合わせて、その都度、フィルターを交換したりする(一枚もの)や、一枚で明るさを調整できる可変フィルターもあります。
下の写真は、一眼レフ用の外付け可変フィルターです。フィルターの外周には、調整ダイヤルがあって、それを回すことで、フィルターを明るくしたり、暗くしたりできます。
向こう側の見え具合が違うのがわかると思います。
屋外の撮影では、NDフィルターは必須になります。夏の日差しは、特に強烈です。標準装備してない機種をお持ちの方は、NDフィルターを必ず用意してください。
NDフィルターをもう少し詳しく
下の図を見てください。
左右が明るさを表しています。左が明るい状態で、右が暗い状態だと思ってください。そして仮にですが、アイリスで調整できる範囲は、真ん中のイメージです。
屋外で、太陽光が強い時でも、人間の目なら、無意識に違和感なく、しかも無段階に明るさを調整できます。なので、人間には問題がおきることはありません。でも、機械の場合は、そんなとき、調整が必要です。アイリスの露出補正だけでは、対応できないような状況です。上の図で言えば、明るさが一番左側になってしまうような状況です。
もし、その状況から、さらに一段、日差しが強くなってしまったらどうなるでしょう?アイリスでは、それ以上羽根を絞れません。そこで『ND』フィルターの出番です。NDフィルターを入れることで、明るさの基準を下げて、アイリスで調整できる範囲に持ってきます。
動画の撮影において、NDフィルターの果たす役割は大きいです。今回は、あえてあまり触れませんが、露出を絞った時、被写界深度が深くなる、という現象がおきます。被写界深度とは、露出を絞るとピントの合う範囲が前後に広くなる現象です。単純に考えれば「ピントが合えば良いじゃん」となりそうですが、そうもいきません。被写体にピントを合わせて、バックをぼかすような映像を狙っている場合、不都合が起きてしまいます。
NDフィルターを使うシーンの例をひとつご紹介しましょう。
屋外から室内に移動する撮影する場合です。外は強烈に明るくて、中は暗いという状況です。そんなとき、屋外での撮影では、あらかじめNDフィルターをかけておきます。そして室内に移動した瞬間に、NDフィルターのスイッチを切って、明るさを調整したりするのです。テレビの生放送などで、編集が効かない場合、こんな映像が流れるときがあります。チェックしてみてください。
NDフィルターの設定
最後に設定の仕方と注意点です。
弊社のカメラの場合ですが、NDフィルターの設定は、ここでおこないます。光の強さによって、1、2、3と切り替えていきます。
撮影前には、NDフィルターがCLEARになっていることを確認しましょう。何かの拍子で入っていたり、入れていたのをついうっかり切り忘れていたりいる可能性もあります。
その上で、アイリスなどの調整をしましょう。
以上、失敗しない撮影の呪文『ND』でした。
撮影中は、何度も7つのチェックポイントを繰り返し思い出してください。そうすることで、あなたの撮影が失敗しないように活用しましょう。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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