ミスの許されない撮影現場でなぜプロのカメラマンは失敗しないのか?あなたが知っておくべき7つのチェックポイント。それは
『シロ・シ・ア・ゲ・ブレ・ピン ND』
です。
今日は3番目の『ア』=アイリスについてです。
アイリスとは?
アイリスって、あまり聞き慣れない名前です。
でもデジタルカメラやスチール撮影の『露出補正』といえば、あなたも聞いたことありますよね?
アイリスも同じ露出補正ですが、今回は、動画撮影のチェックポイントなので『アイリス』という呼び方で統一をしたいと思います。
アイリスと呼ぶのか?
なんでアイリスって呼ぶのか?という疑問がありませんか?まず、その点について解説しておきましょう。
そう呼ぶ理由は、レンズのなかに露出を補正する羽根が入っていて、その名前が『アイリス羽根』だから、です。
明るさの調整には
①光学的な調整
②電子的な調整(次回、解説します)
があって、アイリスは①光学的に明るさを調整する機能です。
ちなみに、レンズの中は、こんな感じになっています。
見たことありませんか?レンズ群には“アイリス羽根”というのがあって、これを閉じたり開いたりすることで、明るさを調整するところから、露出補正をすることをアイリスと呼ぶのです。
外が明るい時は、この羽根を閉じて、取り込む光を少なくします。逆に外が暗ければ、この羽根を開いて、取り込む光を多くすることで、画面を明るくするのです。
この羽根の枚数はレンズの仕様によって変わります。今回の例では、9枚構成のアイリス羽根です。羽根の枚数が多いほど、真ん中が丸くなっていきます。
「なぜアイリスって呼ぶのか?」がわかりましたか?それでは、いよいよ本題です。
アイリスはマニュアルで撮影しよう
アイリスは基本的にオートではなく、マニュアルで撮影します。アイリスをオートにしない理由はいくつかありますが、一番の理由は
「突然の光の変化に対応が遅れるため」です。
アイリスをマニュアルにしたい理由(1)
アイリス羽根のイラストをもう一度、見てみましょう。
羽根が絞られて、入ってくる光を制御している状態です。
この絞られた状態で、さらに光が明るくなった場合はどうなるでしょうか?オートにしておくと、さらに羽根を閉めた状態になります。
その結果、どうなるでしょう?いきなり画面が真っ暗になって、なにも映らなくなってしまうのです。
アイリスをマニュアルにしたい理由(1)
逆にアイリス羽根が開かれた状態で、光をたくさん取り込んでいる状態のときはどうなるでしょう?
急に逆光になったら、光が入りすぎて、画面が真っ白になってしまいます。ホワイトアウトですね。
動画撮影をされたことがある方なら、一度はこんな体験をされたことがあるかもしれませんね。
これらは極端な例だと思われるかもしれませんが、屋外での撮影では、それほどレアなケースでもありません。仮に撮り直しの効かない現場で、一瞬でも場面を逃せば、決定的瞬間を撮り逃すことにもつながります。
アイリスがオート設定でも問題のない時は?
プロのカメラマンは、どんなときも一定の明るさで、見る人が見やすい映像を撮ることが仕事です。
ですから、そういう光の環境の変化にも気をつけていて、室内から屋外へ移ったときや、曇り空から急に太陽が差し込んできて逆光になったときでも、事前にそれを予測して、対応して撮影しています。
仮に、カメラを三脚に固定して、撮影条件が一定している、とった場合は、アイリスをオート設定にしても問題ないと思います。また、カメラを手持ちして移動する場合でも、あまり頻繁にアイリスを動かすと、画面が明るくなったり、暗くなったりするので、良い結果は得られません。常に注意は怠りませんが、できるだけ一定のアイリスで、撮影するように心がけましょう。
動画撮影時、アイリスは必ずマニュアルに設定する。が基本です。
調整リングの使い方
一眼レフなどを使って静止画を撮っている人が、ビデオカメラを撮影すると、「あっ、この人、ビデオカメラやったことないな」って一目でわかるポイントがあります。
なんでしょうか?それは、調整リングの回し方です。
普通、カメラで写真を撮るときって、こんな感じでレンズを下から持つのが基本です。
でも、ビデオカメラのレンズで、アイリスなどを調整している場合の基本は、これです。上から押さえて調整しているのがわかりますか?
動画撮影と静止画撮影でのちょっとした違いでした。
アイリス設定の仕方
さて、アイリスの設定についてご説明します。
アイリスの設定は、レンズについている「アイリスリング」を回して調整します。
アイリスを合わせる時の注意点
マニュアルで、アイリスを合わせる際に、注意することがあります。
ビデオカメラの明るさを決定する要素には
『アイリス』
『ゲイン』
『シャッタースピード』
の3つがあります。どれも明るさを決定する要素なので、それぞれを順不同でいじってしまうと、いつまでたっても明るさの調整ができません。
明るさを合わせる順番
なので、アイリスを合わせるときは、次の順番で設定しましょう。
(1)まず、シャッタースピードを1/100に固定する
(2)そしてゲインを基本的に0db(次回説明します)で固定
(3)そしてアイリスを調整する
次の写真をみてください。ソニー業務用ビデオカメラ「HXR-NX3」です。
ファインダーやモニターを見て、被写体がちょうど良い明るさになるように『アイリスリング』を回してください。事前にファインダーの明るさが、テレビの映像と同じくらいになるように調整しておくことも肝心です。
一旦、合わせてしまっても、常にアイリスのことだけは頭に入れて撮影しましょう。
逆光が強い時など、アイリスをどのくらいに設定したらいいか?迷ってしまうときもあります。そんなときには、ちょっと明るいくらいにして撮影しておきましょう。暗い場合には編集のときに修正しきれない場合も多いのですが、明るければ、編集のときに、少しくらいは調整できるからです。
アイリスを微調整しながら撮影することは、操作がとても難しいのでは?と思われるかもしれません。でも、慣れてしまえば、それほど大変な操作ではありません。何が起きても対応できるように、状況を先読みすることのも技術のひとつなのです。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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