動画マーケティング。それって「本当に効果あるの?」
必要なのはわかるけど、コストも時間もかかるし、失敗したくない。そんな不安はもっともです。
でも、しっかりと設計された動画は、驚くほどの成果を出しています。
そこで今回の記事では
今回の記事でわかること
- 動画マーケティングのメリット・デメリット
- 導入事例
- 成功のポイント
- 最新のトレンド
現場目線でお伝えします。
「ウチもやってみようかな」と思ったときに、参考になるような記事を目指しました。
ぜひ最後までご覧ください。

執筆者
この記事は、動画制作・デザインを手がける「ワイラボ」の代表が執筆しています。普段は企画やディレクションの立場から、現場チームと連携して映像制作に関わっており、その経験から得た視点でお話ししています。
1. 動画マーケティングって効果あるの?導入前に知るべきポイント
動画マーケティングに取り組む企業は年々増えています。
が、「本当に効果があるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。確かに動画は手間もコストもかかります。でも、しっかり設計すれば、それに見合う成果を出すことができます。
とはいえ、すべてのケースでうまくいくわけではありません。どんな目的で、どんな企業が、どんな商品・サービスで使えば効果的なのか。逆に失敗しやすいケースはどんなものか。ここでは導入前にぜひ知っておいてほしいポイントを、現場の目線から本音でお伝えしていきます。
①なぜ今、動画がマーケティングに効くのか
結論から言えば、人は「動画」の方が圧倒的に情報を理解しやすく、記憶にも残りやすいからです。文字や画像よりも感情に訴えかけやすい。そして、視覚と聴覚を同時に刺激できるのが動画の強みです。
とくに最近は、SNSやYouTube、TikTokの普及によって、動画を見るのが当たり前になりました。つまり、ユーザーの情報の受け取り方そのものが変わったということです。テキストやバナー広告よりも、動画のほうが「立ち止まってもらえる」確率が高くなっています。
また、動画は視聴履歴や視聴完了率などのデータが取得しやすく、マーケティング施策としてPDCAを回しやすい特徴もあります。ABテストも行いやすく、広告との相性も良いです。
たとえば、商品紹介ページに1分の動画を入れるだけで、CVR(成約率)が10〜20%改善した事例もあります。つまり、動画は「ちゃんと使えば効果が出やすい」手法なのです。
②動画を取り入れている企業の共通点とは?
実際に動画マーケティングを導入して成果を出している企業には、いくつかの共通点があります。最大のポイントは、「目的がはっきりしている」という点です。
ただ“流行っているから”という理由で動画を作っても、たいてい失敗します。成功している企業は、「商品の認知度を上げたい」「問い合わせ数を増やしたい」「採用エントリーを増やしたい」など、ゴールが明確です。そしてその目的にあわせて、構成や尺、配信先をしっかり設計しています。
③どんな商品・サービスと相性がいいのか
ユーザーが「目で見て理解したい」商品やサービスと、動画は相性が良いです。
たとえば、以下のようなジャンルは特に効果を感じやすい傾向にあります。
商品・サービス例 | なぜ動画と相性がいいか |
---|---|
家電・ガジェット製品 | 使用シーンやサイズ感、便利さを映像で伝えやすい |
飲食・食品系 | 美味しさや雰囲気が動画でリアルに伝わる |
美容・健康関連 | 施術の流れやビフォーアフターの視覚的比較が効果的 |
無形商材(SaaS、保険、金融など) | 概念や仕組みが複雑なので、アニメーションでの解説が有効 |
たとえばSaaS商材の場合、導入の流れやUIの操作画面を動画で説明することで、営業資料だけでは伝わらない「使用感」まで訴求できます。逆に、「とくに見た目では差別化できないサービス」や「緊急性の高い商材」は、テキスト訴求のほうがスピーディに伝わる場合もあります。
つまり、商品やサービスの特性によって、「どんな情報を動画にするのか?」の見極めが大切です。
④失敗するケースにはどんな傾向がある?
動画マーケティングにも失敗パターンはあります。
その多くは、目的が曖昧なままスタートしてしまうケースです。「とりあえず1本作ってみよう」「なんとなく会社紹介動画を作ろう」といった形で進めると、ゴールがぼやけて視聴者にも伝わらなくなります。
また、「長すぎる動画」もよくある失敗例です。伝えたいことを全部盛り込もうとして、5分〜10分の動画になってしまうと、途中で離脱されてしまいます。特に広告やLP用の動画は、最初の5秒で離脱されることも多く、最初のインパクトが命です。
他にも、「社内リソースだけでやろうとしてクオリティが落ちる」「予算を削りすぎて安っぽくなる」など、コスト意識が裏目に出ることもあります。無理に自作するよりも、目的に合った外注先と組んで、最低限のクオリティラインを確保する方が、結果的に費用対効果は良くなることも多いです。
そして、配信後に放置するのも大きなNGです。せっかく動画を公開しても、視聴データを活かして改善を繰り返さなければ、その効果は頭打ちになります。失敗を避けるには、「目的」「設計」「改善」の3点を意識することが不可欠です。
2. 動画マーケティングのメリットとデメリット
動画を使ったマーケティングには、間違いなく強みがあります。
とはいえ、良い面ばかりを見て「やればうまくいく」と思ってしまうのは危険です。効果的に活用するためには、良い点だけでなく、デメリットや注意点も正しく理解しておくことが大切です。
ここでは、動画マーケティングのメリット・デメリットを本音ベースでお伝えします。「期待しすぎて失敗する」といった事態を避けるためにも、ぜひ事前に知っておいてください。
①伝達力が強く、印象に残りやすい
やはり最大のメリットは、情報の「伝わりやすさ」です。文章や静止画では伝えきれない内容でも、動画なら一瞬で理解できます。特に人は映像と音声を同時に受け取ると、記憶に残りやすくなります。五感に訴えることで、視聴者の心にしっかりと印象を残すことができるのです。
たとえば、製品の使い方や導入事例などは、百聞は一見にしかず。文字で説明しても伝わりにくい部分が、動画にすると一気に伝わるようになります。また、登場人物が話すことで、企業の“顔”が見えるのも大きなポイントです。信頼感や親しみを感じてもらいやすくなります。
ただし、視聴者が“感動”するほどの伝達力を発揮するには、構成・演出・撮影すべてがしっかり設計されている必要があります。伝えたいことをきちんと絞り込まないと、逆に何も伝わらない動画になってしまうリスクもあるのです。
②情報量が多く、理解促進に有効
動画は「時間」を使えるメディアです。たとえば30秒の動画の中に、10個以上の情報を自然に盛り込むことができます。映像とナレーション、テロップやBGMなど、複数のレイヤーで同時に情報を伝えられるのが大きな強みです。
とくに複雑なサービスやプロダクトの場合、文字だけではどうしても伝わりにくくなります。でも動画なら、使用シーン・導入前後・お客様の声などを組み合わせて、「あ、そういうことか」と腹落ちさせることができるのです。
これは営業資料やプレゼンにも応用できます。口頭で説明するよりも、事前に1本の動画を送っておくだけで、話のスタート地点を一段上げられます。つまり、動画は「説明工数の削減」にもつながるというわけです。
ただし、情報を詰め込みすぎると逆効果です。見る側が「結局なにが言いたいの?」と混乱してしまいます。1本の動画で伝える情報は、欲張らずに1〜2つに絞ることが、理解を深めるコツです。
③SNSで拡散されやすい
いまやSNSは、企業にとって欠かせない情報発信の場です。そして動画は、そのSNSとの相性がとても良いメディアです。テキストや画像と違って、動きと音があるだけでタイムラインの中で“目立つ”存在になります。
また、TikTokやInstagramリール、YouTubeショートなど、短尺動画が自然に拡散されやすい設計になっているのも後押ししています。企業アカウントでも、うまくハマれば数万〜数十万回再生されることも珍しくありません。
加えて、エンタメ性を持たせれば、情報よりも“感情”でシェアされる傾向もあります。とくに若年層に向けた訴求には、動画の拡散力がかなり効果的に働く場面が多いです。
ただし、拡散されやすい=売上につながるとは限らない点には注意が必要です。再生回数が伸びても、問い合わせや購入に結びつかないこともあります。あくまで“目的次第”でSNSでの動画活用を設計することが重要です。
④コストや制作負担などの注意点
動画マーケティングには魅力がある一方で、やはり避けて通れない課題があります。それは「お金と時間」です。たとえば、3分程度のしっかりした動画を外注で制作しようとすると、相場は30万円〜100万円ほど。企画から撮影・編集まで一通り行う場合、思ったより高く感じるかもしれません。
また、社内で動画を作る場合でも、ディレクション・編集・配信作業など、まとまった工数がかかります。動画は「作って終わり」ではなく、公開後の分析・改善も必要なので、継続的なリソースが求められます。
さらに、社内で動画を自作したい場合には、編集スキルのある人材の確保や、ツール・機材の準備も必要です。「手軽に始められる」と言われがちですが、クオリティを求めるなら、それなりの準備は欠かせません。
とはいえ、最近はテンプレートやAI編集ツールも進化しており、以前よりハードルは確実に下がっています。最初は小さくスタートして、徐々に予算をかけていくという選択肢もありです。大切なのは、「どこにリソースをかけるべきか」を見極めることです。
3. 成功事例から学ぶ!動画マーケティングの活用パターン
動画マーケティングを「なんとなく良さそう」と思っていても、具体的にどう使うのかイメージが湧かない人は多いはずです。
ですが、実際に成果を上げている企業には、しっかりとした活用パターンがあります。しかも、一部の大企業だけではなく、中小企業や個人事業でも取り入れられる方法ばかりです。
この章では、目的別に効果的な動画活用パターンを紹介しながら、どんな場面で動画が成果に直結しやすいかを具体的に掘り下げていきます。「ウチのビジネスにも活かせそう」と思ってもらえるよう、できるだけリアルな目線でお話しします。
動画マーケティング ①商品・サービス紹介動画の事例
商品やサービスの魅力を伝えるには、やはり動画が強いです。文字や写真だけでは伝えきれない「使用シーン」や「サイズ感」、そして「ユーザーのリアルな感想」などを一気に伝えることができます。
たとえば、あるアパレルECサイトでは、モデルが実際に服を着て動く動画を導入したことで、返品率が15%減り、購入率は1.3倍になりました。ユーザーにとっては、「着た感じ」や「動いた時の印象」が伝わることで安心感が増すからです。
また、BtoB向けのSaaSサービスでは、UIを操作する画面を動画で紹介することで、営業資料だけでは伝えられない「直感的な使いやすさ」や「導入後のイメージ」がしっかり伝わります。動画を導入したことで、問い合わせ数が3倍になった事例もあります。
このように、「見せて伝える」ことで、理解度と信頼感が一気に高まり、結果として行動につながるのがこのパターンの強みです。
動画マーケティング ②会社紹介・採用向け動画の事例
企業の顔を伝える目的での動画活用も非常に効果的です。特に採用市場では、会社の雰囲気や働く人の人柄を「動画で見せる」ことで、応募者とのミスマッチを減らすことができます。
たとえば、ある中小企業では、社長インタビューと社員の日常風景を1本の動画にまとめたところ、新卒採用の応募数が前年比で約2倍に増えたという実例があります。文字や写真だけでは伝わらない「空気感」や「人間性」が動画なら伝えられるからです。
また、会社紹介動画は営業や商談の場でも活躍します。サービスの説明に入る前に動画を流すことで、相手に信頼感を与えると同時に、会社の価値観やビジョンを短時間で伝えられます。事前に「動画を見てもらってから商談」という流れにしただけで、受注率が上がったというケースもあります。
この活用法は特に、信頼関係が重視される業種や、競合が多い市場で差別化したい企業に向いています。
動画マーケティング ③ストーリーテリング動画の事例
感情に訴える動画は、ブランディングにおいて非常に強力です。企業の理念や想いを“ストーリー”として届けることで、ファンの心を掴むことができます。
たとえば、ある地方の老舗和菓子店では、創業の背景や職人のこだわりをドキュメンタリー風にまとめた動画を制作。YouTubeとSNSで配信したところ、動画を見たユーザーから「地元の良さを再確認した」と共感の声が集まり、来店者数が前年比で25%アップしました。
このように、単なる商品の紹介ではなく「想い」を伝える動画は、共感を呼び、ブランドイメージを確立するうえで効果を発揮します。いきなり売上に直結するわけではありませんが、長期的に見れば“選ばれる理由”を作るうえで欠かせない要素です。
ただし、ストーリー動画は時間が長くなりがちなので、視聴者が最後まで見てもらえるような構成とテンポが重要になります。プロの力を借りてでも、演出や編集の工夫は欠かせません。
動画マーケティング ④イベント・展示会・セミナーの活用例
リアルイベントやオンラインセミナーでも、動画はとても有効です。とくに、事前の集客、当日の演出、事後のフォローという3つのフェーズすべてで活用できるのがポイントです。
たとえば、展示会に出展する企業が、ブースでループ再生する動画を用意したことで、通行量は変わらなくても立ち止まる人の数が2倍になったという実例があります。動画の動きと音が、無意識のうちに人を引きつけるのです。
また、セミナーでは、冒頭に短いブランドムービーを流すだけで、その後のプレゼン内容への理解度が大きく変わることがあります。終わったあとも、ダイジェスト動画として編集すれば、アーカイブとしてWebやSNSで活用できます。
このようにイベントと動画は非常に相性が良く、参加者の記憶に残す手段としても有効です。ただし、音響やスクリーン環境によっては見えづらくなるリスクもあるので、事前のチェックは必須です。
4. 動画マーケティングの始め方|戦略とステップ
動画をやってみたいけど、何から始めればいいのかわからない。
そんな声をよく聞きます。実際、動画は思いつきや勢いだけで始めると、高確率でうまくいきません。
でも逆にいえば、ちゃんとした戦略を立てて、ステップを踏めば、動画は再現性のあるマーケティング手法として機能します。
この章では、「動画を作る前」に考えるべきことと、「作ったあと」にやるべきことをセットでお伝えします。ぶっちゃけると、撮影や編集そのものよりも、“その前後の設計”が成功を分けるポイントです。
①目的設定とKPIの決め方
いきなり「どんな動画を作ろうか」と考えるのは危険です。まずやるべきは、「なぜ動画をやるのか」を明確にすることです。これはキレイごとではなく、本当に大事なことです。
たとえば、「新商品の認知を広げたい」のか、「ECサイトの購入率を上げたい」のか、「採用エントリーを増やしたい」のか。同じ“動画”でも、目的が違えば構成も撮り方も、配信先もまったく変わってきます。
目的が決まったら、KPIも具体的にしておきましょう。「再生回数」「視聴完了率」「クリック率」「CV数」など、どこを見て判断するかを最初に決めておくことで、動画の良し悪しが曖昧にならず、改善もしやすくなります。
目的がふわっとしたまま制作に入ると、社内でも「いいね」「微妙だね」みたいな感覚論になり、進行が止まりがちです。ここだけはしっかり詰めることをおすすめします。
②ターゲット・ペルソナの設定方法
目的とセットで重要なのが、誰に向けて動画を作るのか、つまり「ターゲットの明確化」です。
これは“年齢や性別”だけで決めるのではなく、「どんな悩みを持っているか」「何に反応しそうか」まで踏み込むのがコツです。
たとえば、同じ商品でも、20代女性に向けた動画と、40代男性に向けた動画では、見せ方も語り口もまったく変わってきます。声のトーン、BGM、ナレーションの有無、テロップの言葉遣いなど、細部にまでターゲット設定は影響します。
実際に成果が出ている企業は、この「誰に向けて話しかけるか」を徹底的に考えています。そして、動画の冒頭5秒で「あ、自分のことだ」と思ってもらえるように構成しています。
ペルソナの設定は、少し面倒に感じるかもしれませんが、ここをすっ飛ばすと、すべてがズレます。視聴されない、響かない、記憶に残らない。つまり、労力もコストも無駄になってしまうのです。
③配信媒体(YouTube・SNS・Webサイト)の選び方
動画を作っただけでは、当然ながら誰にも見てもらえません。大事なのは「どこで、誰に届けるか」です。つまり、配信先の選定です。
代表的な選択肢としては、YouTube、Instagram、X(旧Twitter)、TikTok、自社サイト、メールマーケティングなどがあります。それぞれに強みと向き・不向きがあります。
配信先 | 向いている動画の特徴 |
---|---|
YouTube | 長尺・検索ニーズのある解説・レビュー系 |
短尺・ビジュアル重視のブランディング動画 | |
TikTok | エンタメ性・即時性のあるショート動画 |
自社サイト | 商品紹介・会社案内・CV導線がある説明動画 |
メールやLP | 興味関心が高い層に向けたクロージング用の動画 |
たとえば、「問い合わせを増やしたい」なら、自社サイトやLPに動画を設置するのが効果的ですし、「認知拡大」が目的ならYouTubeやSNSとの親和性が高いです。
いちばん避けたいのは、どこに出すかを決めずに動画を作ってしまうこと。配信先に合わせて、尺やフォーマット、音声の有無などを設計するのが基本です。
④スケジュールと制作の流れ
最後に、実際に制作に入る前の段取りについてお伝えします。意外と多いのが、「動画ってどう作るの?」という基本的な不安です。でも安心してください。流れはシンプルです。
- 目的・ターゲット・配信先を決める
- 動画の企画・構成案を作成
- 撮影やナレーションの準備(必要であればキャスト手配など)
- 撮影 or アニメーション制作
- 編集・BGM・テロップ・ナレーション挿入
- 完成動画の確認・修正
- 配信・広告出稿・効果検証
外注の場合は、この全体の流れを任せることもできますし、一部だけ自社で担うことも可能です。たとえば、「構成案までは自社で作って、撮影と編集は外注」といったやり方もよくあります。
納期は、最短で2〜3週間、しっかり作ると1〜2ヶ月かかることもあります。納期に間に合わせたい場合は、逆算してスケジュールを組むことが重要です。とくに撮影が絡む場合は、天候や出演者のスケジュールなど、動かせない要素が多いので、余裕をもって準備を進めましょう。
5. 動画マーケティングの費用と制作のコツ
動画ってお金かかりそう。そんなイメージ、正直ありますよね。
実際、しっかり作ろうとすればそれなりのコストが発生します。とはいえ、予算に応じた選択肢はちゃんとありますし、工夫次第で費用対効果を最大化することも可能です。
この章では、動画制作にかかるおおよその費用感から、自社制作と外注の違い、さらには失敗しないためのコツまで、ぶっちゃけトークでお伝えします。予算と効果のバランスに悩んでいる方こそ、ぜひ読んでおいてほしい内容です。
①動画制作の費用相場と内訳
まずは気になるお金の話から。動画の費用はピンキリですが、下記はよくある制作パターンの目安です。
動画の種類 | 想定費用(税込) | 備考 |
---|---|---|
スライド動画(簡易アニメ) | 5万円〜15万円 | テンプレ活用、編集中心 |
ナレーション付きPR動画 | 20万円〜50万円 | 撮影なし or ストック素材で構成 |
撮影あり企業紹介動画 | 50万円〜100万円 | 撮影+編集+ディレクション込み |
ブランドムービー | 100万円〜300万円以上 | ストーリー構成・演出・キャスティング込み |
価格差が生まれるのは、以下のような項目によるものです。
撮影の有無、ナレーションやBGMの使用、アニメーションのレベル、シナリオ構成、修正回数などが主な変動要因です。
また、動画は1本作って終わりではありません。実際には「用途別に短く切り出す」「英語版を作る」「広告用に再編集する」といった追加作業が発生するケースもあります。初回の相談時点で、できるだけ使い回し前提で構成しておくと、あとから追加費用が抑えられます。
②内製と外注、それぞれのメリット・デメリット
コストを抑えるなら、自社での内製という選択肢もあります。最近ではスマホのカメラ性能も上がっており、無料や低価格の編集ソフトも充実しています。
ただし、簡単に見えても、やはり動画は「伝えるための設計力」が問われます。
内製のメリットは、柔軟に素早く対応できることと、コストが抑えられること。ただし、担当者のスキルや時間に大きく依存します。慣れないうちは、編集だけで丸一日かかってしまうこともあります。
一方、外注は当然コストはかかりますが、構成から演出までをプロが設計してくれるため、成果につながりやすいのが特徴です。自社のリソースを使わずに一定のクオリティが担保できるのも大きな利点です。
現実的には「自社で構成を練って、編集はプロに任せる」「動画の核だけ外注して、あとは自分たちで使い回す」といったハイブリッド型が最もおすすめです。予算と目的に応じて、必要な部分だけプロを活用することで、無理なく高品質な動画が作れます。
③失敗しない制作会社の選び方
動画の仕上がりは、正直、制作会社の力量に大きく左右されます。値段だけで選んでしまうと、「伝わらない動画」が出来上がってしまうことも珍しくありません。
選ぶ際にまず確認してほしいのは、「過去の制作実績」です。自社の業界や目的に近い動画を作った経験があるかどうか、そこが判断の軸になります。さらに、その動画が「カッコいいだけ」ではなく、「ちゃんと伝わっているか」も見るべきポイントです。
もうひとつ大事なのが、「一緒に考えてくれるかどうか」です。単に動画を納品するだけではなく、目的や配信先に合わせて構成や演出を提案してくれる会社は、成果へのコミットが違います。
逆に「構成は丸投げしてください」「撮って編集して終わりです」というスタンスの会社は、安くても要注意です。あとから修正が多くなり、かえって高くつく可能性もあります。
迷ったら、2〜3社に見積もりと提案を依頼して比較してみましょう。金額だけでなく、提案の“温度感”も大事な判断材料になります。
④自社で作る場合のおすすめツール・テンプレート
最近は自社制作でもかなりレベルの高い動画が作れるようになっています。とくにテンプレートを活用すれば、デザインや構成を一から考えずに、完成度の高い動画が短時間で仕上がります。
代表的なツールには以下のようなものがあります。
ツール名 | 特徴 |
---|---|
Canva(動画機能) | テンプレが豊富で初心者でも使いやすい |
Premiere Pro | 本格的な編集が可能。経験者向け |
CapCut | 無料&直感的。SNS動画にも最適 |
VYOND(旧GoAnimate) | アニメーション型の説明動画に強い |
また、Adobe StockやEnvato Elementsなどのテンプレート素材サイトでは、完成形に近い動画テンプレも購入可能です。ナレーションやテキストを差し替えるだけで、それなりに見える動画がすぐ作れます。
ただし、テンプレに頼りすぎると、他社と似た動画になってしまうリスクもあります。できればテンプレを“土台”として活用し、自社の強みやメッセージをしっかり乗せる工夫を加えてください。
6. 動画マーケティングを成功させるポイント
動画を作るだけでは、成果にはつながりません。
どれだけ完成度の高い映像でも、届け方や改善の仕方が間違っていれば、思ったような反応は得られません。
実際、「いい動画なんだけど効果が出ない」という相談は本当に多いです。
この章では、そうならないために押さえておくべき“本質的な成功ポイント”を、現場目線で本音でお伝えします。動画そのもののクオリティだけでなく、届け方・伝え方・改善の仕方が大きく成果を左右するということを、ぜひ頭に入れておいてください。
①視聴者の心を動かすシナリオ作り
動画の出来を左右するのは、撮影でも編集でもなく、「シナリオ(構成)」です。
ここがズレていると、どれだけ映像がきれいでも、まったく刺さりません。
特に重要なのが、冒頭の5〜10秒。ここで「自分に関係ある」と思わせられないと、視聴者はすぐ離脱します。これはSNSでもYouTubeでも同じです。
構成を考えるときは、視聴者の「悩み」や「期待」からスタートし、その課題にどう応えるのかという順番で組み立てるのが基本です。
つまり、商品の特徴をただ並べるのではなく、「なぜそれが必要なのか?」「それでどんな未来が待っているのか?」を物語のように描くことが大切です。
さらに、「共感」と「信頼」も大きなポイントになります。自分と同じ悩みを持っていた人の体験談、実際のユーザーの声などを組み込むと、ぐっとリアルに伝わります。
企画段階では、メッセージを1つに絞る勇気も必要です。全部伝えようとすると、結局何も伝わらない動画になってしまいます。
②サムネイル・タイトルの工夫
どれだけ内容が良くても、見られなければ意味がありません。そこで重要になるのが「サムネイル」と「タイトル」です。特にYouTubeやSNSでは、ここで勝負が決まると言っても過言ではありません。
サムネイルは、動画の第一印象を決める看板のような存在です。人はサムネイルを見て、直感的に「面白そう」「自分に関係ありそう」と判断します。文字やデザインは目立たせたいところだけを強調し、過剰に詰め込みすぎないことがコツです。
タイトルも、ただの説明ではなく、興味を引く言い回しにするのがポイントです。「●●するたった一つの方法」「知らないと損する●●」など、具体性や問題提起を入れると効果的です。
また、SEOを意識したキーワード設計も重要です。とくにYouTubeでは、タイトル・説明文・タグなどに検索されやすいキーワードを入れることで、表示される確率が高まります。
このように、動画の「中身」だけでなく「入り口」も戦略的に設計することが、再生数や視聴完了率の差を生みます。
③分析・改善のサイクルを回す方法
1本動画を作って終わり、ではもったいないです。動画マーケティングは「出してからがスタート」と言っても過言ではありません。
むしろ重要なのは、その後に「どう改善していくか」です。
たとえば、以下のような指標を定期的にチェックするのがおすすめです。
指標 | 意味 |
---|---|
視聴回数 | 単純な人気度。広告や配信媒体によって変動しやすい |
視聴維持率(離脱率) | どこまで見られているか。離脱ポイントで内容を見直す目安になる |
視聴完了率 | 最後まで見られた割合。構成の良し悪しがここに出る |
CTAクリック率 | 問い合わせや購入など、次のアクションにつながった割合 |
たとえば、最初の10秒で大きく離脱しているなら、導入部分の見せ方に問題があるかもしれません。逆に、完走率は高いのにクリック率が低いなら、CTA(問い合わせや購入リンク)の設置方法やタイミングを見直す必要があります。
こうした数字の見方を身につけると、「動画ってなんとなく良かったね」ではなく、「改善すればもっと良くなる」というPDCAの発想に切り替わります。
1回ごとの動画の完成度よりも、「改善し続ける仕組み」のほうが、長い目で見れば確実に成果につながります。
④他メディアとの連携・クロスメディア戦略
動画単体で成果を出すのは難しい時代になっています。いま求められるのは、「他のマーケティング施策とどう連動させるか」という視点です。
たとえば、LP(ランディングページ)に動画を設置して、文字で伝えきれない情報を補完する。あるいは、SNSで動画を使って関心を集め、その後のメルマガで詳細を伝えてクロージングにつなげる。
このように、複数のメディアを組み合わせて、動画を“仕掛けの一部”として使うことで、より強い訴求が可能になります。
さらに最近では、オウンドメディアの記事に埋め込んだり、営業資料の一部として活用したりと、社内外での活用の幅も広がっています。
一度作った動画を、どう横展開していくか。それを意識することで、1本あたりのコストパフォーマンスも大きく変わってきます。
つまり、動画は「単独で完結させるもの」ではなく、「マーケティング全体の流れの中で活かすツール」として捉えることが、成功の鍵になるのです。
7. 今後のトレンドと動画マーケティングの未来
動画マーケティングはすでに一般的な手法になっています。
が、技術の進化やユーザー行動の変化によって、その姿はこれからもどんどん変わっていきます。
「今うまくいっている手法」が、数年後には通用しなくなるかもしれません。
だからこそ、今後のトレンドを押さえておくことが重要です。
この章では、これからの動画マーケティングを考えるうえで、知っておくべき4つのトピックを紹介します。先回りして準備できている企業こそ、競争優位を築ける時代に入っているのです。
①ショート動画(TikTok, Shortsなど)の活用
今もっとも勢いがあるのが、「ショート動画」です。TikTok、YouTube Shorts、Instagram Reelsなど、縦型かつ15秒〜60秒ほどの短尺動画が主流になっています。
この流れは、単なる流行ではなく「生活スタイルの変化」によるものです。ユーザーはスマホでスキマ時間にサクッと見られるコンテンツを求めています。つまり、短い時間でインパクトを与える動画が、求められているということです。
ショート動画は再生されるまでのハードルが低く、拡散力も非常に高いのが特徴です。とくにBtoCや若年層向けのビジネスでは、強力な武器になります。
一方で、認知は取れても信頼までは築きづらいという側面もあります。導線設計やアフターフォローも含めた“全体設計”が、より重要になるフェーズに入っていると感じます。
②AIによる動画生成・自動編集の進化
ここ1〜2年で急速に進化しているのが、AIによる動画生成と編集技術です。文字原稿を入れるだけで動画を作ってくれるツール、音声をAIが自動でナレーションしてくれる仕組みなど、技術の進化がものすごいスピードで進んでいます。
たとえば、下記のようなサービスは今後のスタンダードになっていく可能性があります。
サービス例 | 概要 |
---|---|
Pictory | テキストから自動で動画を作成するAIツール |
Synthesia | AIアバターが話すナレーション動画を自動生成 |
Descript | 音声を文字起こししながら自動編集できる多機能エディター |
これにより、従来よりも圧倒的にスピード感を持って動画制作ができるようになり、社内制作のハードルも大きく下がっています。
ただし、まだ「人間の感性に訴える構成力」や「微妙なトーン設計」はAIでは難しい部分もあります。うまく使い分けることが、今後は大切になってきます。
③パーソナライズド動画の可能性
これからの動画マーケティングは、「個人に最適化された動画」がカギになります。
たとえば、視聴者の名前や属性、行動履歴に応じて内容が変わるパーソナライズド動画は、より深いエンゲージメントを生み出します。
すでに、メールマーケティングと連携した「名前入りの動画」、ECサイトで「購入履歴に応じた商品説明動画」などが実用化され始めています。
個別に語りかけられている感覚が、視聴者の心理的ハードルを下げてくれるのです。
ただし、パーソナライズは技術的な設計やデータ活用の知識が必要になります。少しハードルはありますが、差別化の武器としては非常に強力です。将来的には、「全員に同じ動画を見せる時代」が終わるかもしれません。
④BtoBマーケティングにおける動画の価値
これまで動画というとBtoC向けの印象が強かったですが、実はBtoB分野でも動画活用は急増しています。理由はシンプルで、「検討期間が長い」BtoBにこそ、丁寧な説明と信頼醸成が必要だからです。
たとえば、サービスの概要を説明するアニメーション動画、顧客インタビューによる導入事例動画、営業資料の代わりに活用するプレゼン動画など、用途は多岐にわたります。
特に、オンライン商談が一般化した今、「事前に動画で情報をインプットしてもらう」スタイルが当たり前になりつつあります。時間効率が上がるだけでなく、相手の理解度も格段にアップするのが大きな利点です。
BtoBにおいては、「論理性と信頼性」が何より重要。その点、テキストとグラフだけの資料よりも、顔が見える動画のほうが、説得力を持って伝えられるのです。今後もこの流れはさらに加速していくでしょう。
マーケティングの効果とは?まとめ
動画マーケティングは、ただのブームではありません。今や、ユーザーの情報収集スタイルそのものが“動画前提”になりつつあります。
だからこそ、動画をどう活かすか? どう届けるか? が企業のマーケティング成果に直結してくる時代です。
ただし、やみくもに動画を作っても効果は出ません。目的、ターゲット、媒体選び、改善の仕組み——それらを一つひとつ丁寧に考えることが、動画マーケティング成功への近道です。
本記事が、その最初の一歩を後押しできれば幸いです。動画を“作ること”より、“活かすこと”を一緒に考えていきましょう。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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